COLUMN
東邦コラム
2026.01.05その他

仲秋のアメリカとカナダを訪ねて

仲秋のアメリカとカナダを訪ねて

2025年9月、アメリカとカナダを訪れた。この旅の主目的は二つ。ひとつは、かつてアメリカで暮らしていた祖母・伯母のお墓参り。もうひとつは、母が残してくれた財産に関わる銀行手続きであった。いずれも先延ばしにはできない、大切な用事である。

とはいえ、せっかく時間と費用をかけて行くのであれば、少しだけ心を緩める時間も持ちたい。そう考え、夫婦そろって以前から一度は見てみたいと思っていたナイアガラの滝周辺の観光も、行程に組み込むことにした。今回の旅における〈楽しみ その1〉である。

さらにもう一つ、〈楽しみ その2〉として選んだのが、移動手段だった。アメリカとカナダを走るなら、それらしい車に乗りたい。そうして選んだのが、個人間カーシェアアプリのTuroを利用したレンタカーである。




トロント・ピアソン国際空港に到着後、車のオーナー宅へ向かうためUberを予約し、指定された乗り場で待っていると、一台のHondaに乗ったドライバーから声をかけられた。どうやら予約していたタクシーではない。多少の不安を覚えつつも、提示された運賃は決して悪くなく、その場の流れに抗えず乗り込んでしまった。

走り出して間もなく、「やっぱり70〜80カナダドルになるよ」と、当初の想定の倍ほどに訂正される。冷静に考えれば、強く断って降ろしてもらう選択もあったはずだ。しかし長時間のフライトの疲れもあり、「もうこのままでいいか」と思ってしまった。

 子どもの頃は毎年のように渡米していたとはいえ、北米のメンタリティに直接触れるのは実に久しぶりである。圧倒されながらも、何はともあれ安全に目的地まで送り届けてもらえたのだから、まずはThank youでいいのだろう。旅の始まりとして、この国に相応しい広い心持ちになれた気がした。

実際にこの二国の道を走ってみると、日本車のシェアの高さが非常に印象的だった。

アメリカという存在を誇示するかのような巨体でドロドロと唸りながら走るGMやFordのピックアップトラック。その隣を走ると、ひときわ小さく見えるToyota、Honda、Subaru、Mazda。対照的な二つのグループが、道路上で強い存在感を放っている。相対的に、日本でよく目にする欧州車はあまり見かけなかった(※あくまで、五大湖周辺の限られた地域での印象である)。

今回借りた車は、Ford伝統のスポーツカー Mustangの6代目、GT Premium Convertible。

 5.0リッターV8エンジンの迫力は圧巻で、アクセルに応じてどこまでも湧き上がるパワー感と音響が実に心地よい。4日間で約1,200kmを走行してなお、「もっと走りたい」と思わせてくれる、素晴らしい一台だった。

そしてナイアガラの滝。

とにかく息をのむ壮観であり、それを言葉で正確に表そうとすることは、いったん諦めたほうがよいのかもしれない。ここでは、数枚の写真からその一端を感じ取っていただければ幸いである。人生で一度は訪れる価値のある場所として、心からおすすめしたい。

滝そのものの侵食によって、滝面は少しずつ後退しており、今のペースでは二万数千年後にはエリー湖に埋没してしまうとも言われているが、少なくとも私たちが生きている間は心配無用だろう。

今回は、完遂すべき大切な主目的を抱え、これまでの人生で最も短い滞在期間にもかかわらず、何度も国境を行き来して圧倒的な最長距離を移動する、ドタバタの海外渡航となった。それでも、滝をはじめとする数々の美しいもの、スケールの大きなものに、愛する妻とともに触れることができた。加えて、家族との思い出の場所を再訪できたことも含め、深い感慨を残す旅となった。

TOPページへ戻る
リクルート