COLUMN
東邦コラム
2025.12.10その他

小さな主

小さな主

わが家には、すでに十二年をともに過ごしているフクロモモンガがいます。

体は手のひらに収まるほど小さいのに存在感は大きく、まるで家の「小さなあるじ」のようです。

夜行性のため、家族が仕事や学校で留守にしている日中はぐっすり眠り、静かに過ごしてくれます。

留守がちなわが家の生活リズムとの相性の良さも、長く一緒に暮らしてこられた理由のひとつかもしれません。


フクロモモンガは、本来は樹上で生活する生き物です。室内には木こそありませんが、少し高い家具から滑空するように移動することがあります。

食性は雑食で、果物や野菜、昆虫などをよく食べます。小さな手で一生懸命に餌をつかむ姿は愛らしく、何度見ても飽きることがありません。


名前を呼ぶと振り向き、近寄ってくることもあります。ケージから出して遊ばせていると、背中や肩にひょいと飛び乗ってくることもあります。

また、寂しくなったときには「ウォン、ウォン、ウォン」と犬のような声で家族を呼ぶこともあります。

その声に応えてそっとケージをのぞくと、大きな黒い瞳でこちらを見つめ、触れ合いの時間を待っているのです。

そんな姿を見ると、1日の疲れがふっと抜けていきます。


実は私は、動物に触れることがあまり得意ではありません。日々のお世話は家族に任せており、私は少し離れたところからそっと見守っています。

それでも、愛らしい仕草や表情に癒しをもらっており、距離を置きながらでも心を和ませてくれる大切な家族の一員です。


十二年という歳月は、フクロモモンガにとってはかなりの長寿で、いまではすっかりおばあちゃんになりました。

これからも無理のないペースで、穏やかな毎日を一緒に過ごしていけたらと願っています。

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